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支援を求めない人たち(2)


 つらい状況にあるのに、親、配偶者、公的支援機関などに、助けを求めず、黙って、死んでいく人たちがいる。
 助けを求めて相談すれば、死なないですむかもしれない。コンサルタント、カウンセラーを通して、助言をもらえることもある。
 大人なのだから、自分の悩みを種々の相談機関、カウンセラーに相談してみたらいいとは思うが、できない人がいる。
 一方、早いうちから、変わった方法で助けを求める子どもがいる。「キレ」るという形の行動で、自分の問題を表現する子どもがいる。
 親の前では、キレないが、学校で、突然、粗暴な振る舞いをする。自分の感情をコントロールできないで、キレる。当然に、教師の指導の対象となる。怒りをコントロールする方法を指導される。場合によっては、家庭に原因があることがわかれば、保護者にも協力をお願いする。保護者の厳しすぎるしつけ、愛情不足、家庭の不和などがあるかもしれない。また、親が忙しすぎるのを見ていて、救いを求めては悪いと思う、または、親が心を病んでいて、ストレスを与えていて、助けをもとめられない場合もあるだろう。
 小さいうちに、キレることで問題を表現できた子どもは、若いうちに、克服の仕方を指導される。だが、そういう原因をよく分析したり、適切な指導をせずに、学校側が子どもをきびしくおさえこんだり、若いうちに、家庭でも学校でも、キレることで表現せずに、「良い子」として大きくなったらどうなるだろうか。家庭や学校で、つらいことや不満があっても爆発せずに、抑圧している。誰にも言わず自傷する。助けを求めない。「支援を求めない人」。
 家庭、学校での種々の不満、つらさを、別の形で発散する子もいる。いじめの加害者になる。感情を表に出さない子の一部は、いじめられても、反抗しないのでいじめの加害者の標的となり、いじめの被害者になる。いじめられても、誰にも、言わずに、ずっと耐え忍ぶか、こらえきれずに、自殺する子。クラスメートにも、親にも教師にも、「支援を求めない人」。ここにも、「支援を求めない人」がいる。
 感情を出さないこと、助けを求めないことが、彼らの生き残る道だった。感情を出したり、助けを求めると、ひどい目にあった。傷ついた。ムダだった。誰も、助けてくれなかった。(親から厳しくされた場合)「親でさえ、助けてくれなかったのだから、ましてや、他人が助けてくれるはずがない」と思う。不信感、臆病、警戒心が身についた。人が怖い、求めて断られるのが怖い。